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思春期の心とからだ

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思春期相談員・カウンセラー

 佐藤 晴世 

思春期の葛藤

 

4)ナイーブな心

 思春期には、個人差がありますが、身体全体がバランスよく成長していくのではなく、手足だけが先に長くなる。手のひらや足のサイズだけが大きくなる。あるいは、あごが発達して、子どもらしい愛らしさに欠けてくる。それがコンプレックスにつながる子もいます。そんな時大人のちょっとした言葉に子どもは大きく傷つけられます。

 「小さい時はかわいかったのにね!」「まあほんとによく食べること!」「まったく図体ばっかり大きくなって」や「まったくこのごろ生意気になった」「ニキビができてお年頃ね」「誰に似たのかしら?」「勉強もせずに、ろくな大人になれないぞ!」などという言葉が、思春期の子の心を閉ざすきっかけになったりします。

 今までは居間で冗談をいいあっていた子が急に無口になり、自分の部屋で過ごすようなった。などというように…。

  親にとっては、記憶にも残らない言葉かもしれませんが、それが子どもの心にどう響くかを考える必要がありそうです。だって人生で最もナイーブな時期ですから。         

 わたしも自分がこういう言葉に傷付いた記憶があるので、我が子には気を付けようと思っていたにもかかわらず、「ぼくだってお母さんにそんな風に言われたよ!」などと返されて、冷や汗が流れたものです。さて、みなさんはいかがでしょう。

 

5)自我の目覚め

 この時期、親子の関係に何の問題もないと感じていても、子どもが次第に自分のことを語らなくなっていくことはよくあることです。しだいに自分の殻に閉じこもって何か思い詰めているようだったり…。何かしら金平糖の角のように全身の神経を尖らせて突っかかってきたり…。これこそが「自我の目覚め」と大人が喜んで受け入れられれば、その後の反抗期は親子にとって、親離れ子離れの訓練期。

 大人がそれに気づかずに昨日の続きの今日として、あれこれ不用意な言葉や、いい子でいる事を要求し続ければ子どもは「心の中に踏み込んでくる」と感じるのです。それは私たち自身も思春期に感じた事ではないでしょうか。

 

 思春期は子どもにとって、自分自身になるための大切な時期。 私自身の思春期を振り返っても、世の中全部を敵に回しているような気分の日があったり、人間の存在が本当に地球の幸福につながるのかと真剣に悩んだり、大人がみんな汚く見えたり…。大人への敵意のようなものを抱えて、孤独な日々を過ごしていました。

 そんな私を支えてくれたのは、同じような気持ちで思春期を迎えていた友人でした。二人は時間の許す限り、大人や社会に対する批判を語りあいました。ふたりの交換日記には親や教師の欠点が事細かに書かれ、社会や政治に対しても批判を連ね、どこか隠れ家に住んでいた「アンネ・フランク」と自分達を重ねているような時期がありました。

 

 子どもが親から離れて、自分自身になっていくためには、孤独はつきものです。でも、それは成長の証です。この時、誰かが心の中に踏み込むのではなく、優しい眼差しを向けてくれていれば、共感してくれていれば、その孤独と向き合えるのではないでしょうか。この時代、子どもは親よりも友人にずっと近づいていきます。とはいっても、親を必要としなくなった訳ではありません。

 子どもに優しい眼差しをもって接すること。

 子どもの悩みや喜びに共感してあげられる感性が求められているのです。

 思春期の子どもたちは、親の愛情を煩わしく感じ、同世代の友人に精神的なつながりをもとめていくのです。そして、肉体的にも親とのふれあいは卒業し、同性の友人と手をつないだり、腕を組んだりしながら、やがて精神的な自立をはたしていくのです。

 

6)初恋との出会い

 思春期の大きな特徴はからだのアンバランスな成長や自我の発達とともに、何より性に目覚め、恋を知る時期です。

 同性の友人と時間さえあれば、熱く語り合っていた時期から、気が付くと異性であるクラスメートやあるいは先輩、時には先生に惹かれ、今度はもう寝ても覚めても、そのことばかり。という時期を私たちもきっと経験しているはずです。(ただ、必ず異性に気持ちが向くとは限りません。同性に強く惹かれ、その事に悩む子どもたちも現れます。この事にはいずれふれていきましょう。)

 

 よく「キューピットの矢が刺さる」といいますが、ある日突然それまで気にならなかった異性が初恋の相手になったりするのです。とまどいもありますが、子どもにとって、そんな経験はたとえ片思いの淡い思いであっても、生きていることを心から喜べる瞬間です。ここはやはり子どもがそわそわと落ちつきなく、急に容姿を気にし始めたりしても、からかったりせずに、気づかないふりをしてあげてほしいものです。恋をするって素敵なことだと感じる気持ちを大切にして…。

 

 でも、子どもがどこか不安げな様子を見せていたら、親は親としてではなく、むかし、自分にも同じ年頃があったことをさりげなく語ってあげられたらいいですね。そしてどんな恋をしてほしいのか、親の気持ちを素直に語ることも素敵なことだと思います。

 

 

 

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