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思春期の心とからだ

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思春期相談員・カウンセラー

 佐藤 晴世 

思春期の葛藤 

  思春期に入ると、男女を問わず、反抗的・攻撃的になってゆきますが、一つには、性ホルモン作用として縄張り意識や、自意識の主張があるからです。もう一つは、親からの過剰な期待・干渉、これに加えて、進路や人間関係、性への不安などが、心身に深く、重く、のしかかっていることが、自己表現として、反抗的に周囲に向けられているということがあります。

以前もホルモンの話を少ししましたが、今回も、性ホルモンの話をしてみましょう。

 

1)性ホルモン

@性ホルモン(アンドロゲン)って何?

 思春期には男女ともアンドロゲンという性ホルモンが分泌されます。これは、男性に多く分泌されるので男性ホルモンといわれます。女性には無いと思われがちですが、女性も分泌しています。アンドロゲンはおもに、骨や筋肉の成長。体毛や毛髪を固く濃くする働きをします。また、攻撃性や縄張りの主張をする働きがあります。さらに、性欲を高める働きもします。思春期に入ると身長だけでなくひげが生え、体毛が濃く性毛も生えてくるというのは、アンドロゲンの働きです。また、親や教師を見下すような態度になったり、肩を揺すってふんぞり返ったり、これは自分の縄張りを主張し独立したいという意志の表れです。

 

A性ホルモン(エストロジェン)って何?

 もう一つのホルモン、エストロジェンは女性ホルモンといわれ、体に脂肪を付け、女子は子宮や乳房が発達します。また優しさなどがまします。幼児を抱き上げてあやすのを楽しいと感じたり、ふくよかな体つきになります。思春期には男子でも、胸が多少膨らんだり、しこりができたりします。男女とも思春期になると、身長や筋肉が発達し、自立心がおうせいになります。性欲が増し、異性に対しての興味が、湧いてくるのです。また、他者に対して自分を抑え、思いやりの態度で接することもできるようになります。

 

このように、子どもたちは今までにないホルモンの働きで、あらたな自己を発見して行きますが、なかなか自分の心身をコントロールするのが難しい時期でもあります。  

 子どもが成長し、性ホルモンの分泌が始まると、他の動物の親は子育ての終了を自覚し、自立をうながし、縄張りから追い出します。

 しかし人間は、その後も5年10年と経済的な援助を続け、同じ縄張りの中で生活を共にするために、親子間の葛藤は高まります。これがいわゆる反抗期現象です。子どもだけが反抗的に行動するのではなく、本来大人になることを喜ぶべきはずの親が、性的に成熟し、自分の意見をはっきりと主張する子どもに対し、理由もなくイライラするのは動物としては、「もう、子どもとして扱うな」という本能です。反抗期は親の方もそうした、本能的な理由で、イライラしているのかも知れません。しかし、これからもしばらくは同じ屋根の下で過ごさなければならないわけですから、親はほんの少し子どもに縄張りを譲るゆとりが必要でしょう。そして、異性の子どもには近づかないというマナーも必要になります。

 この場合のマナーとはノックもせずに子どもの部屋(同性であっても)に入っていったり、不用意に異性の子どもの体に触れることです。

 会話や議論は大いに楽しんで下さい。そして、子どもが相談を持ちかけて来たときにも、異性同性にこだわらず、相談に乗ってあげられる親が応じればいいと思います。

 

2)もう一人の私に気づく(自我の確立)

 いままで、友だちとけんかしたり、ゲームをしたり、天真爛漫に生きていた子ども達が、徐々に自我に目覚め、「遊んでばかりいる自分」「友だちに嫌味を言ったりする自分」「親にわがままばかり言っている自分」を見つめるもう一人の自分に気づく時期でもあります。自我の確立です。

 ナマケモノの自分に腹をたてたり、ゲームばかりしている自分にむなしさを感じたり、自分より弱いクラスメートに「嫌味を言ったり、当たり散らした」あとに、良心の呵責にさいなまれる。これは、親である私たちも思春期に感じたことだと思います。いつしか生活に追われて忘れてしまっていますが、今でももう一人の私の存在に気づかれる瞬間がありませんか?

 親はついつい子どもの外側に出ている部分しか見えないので、いつまでたっても、うちの子は精神的な成長をしないと嘆いたりしますが、子どもというのはこうした、もう一人の自分を隠して生きているものです。けれどもこのもう一人の自分との出会いが、自己コントロールに連ながっていくのです。

 

3)親自身が自分をさらけ出してみることって、あり?

 また、現代の子どもたちは、進路や人間関係、性への不安など、かつての子どもが経験したことのない重圧の中で暮らしています。

 親は、こうした状況を把握して、子どもの不安に共感し、よい聞き手になる必要があります。

 多くの親は子どもと会話をしていると思っています。しかし多くの子どもは親はいつも、意見や忠告ばかりで、会話ができないと訴えています。

 子どもたちは、学校であったことを根掘り葉掘り聞かれることや、勉強のことを聞かれるのを過干渉と感じ、家庭にいてもくつろげないと感じています。

 私は自分があまり優秀な子どもではなかったので、自分の失敗談や、いいかげんさのエピソードには事欠かなかった過去があるせいか、子どもの失敗や悩みにとても共感できました。

 時には自分の思春期時代を思い出し、失敗談を語ったり、また、大人として常に完璧を目指すのではなく、親自身が「あほらしいことで悩む」弱い存在であることをわかってもらったり、時には怒りを爆発させたり、人間としての欠点を見せていいのではないでしょうか。

 

 自分がイライラしてむちゃくちゃに怒ってしまったり、過干渉だったと感じたら、あとで一人で落ち込むのではなく、ちゃんと子どもと向き合って、「さっきは私が大人げない怒り方をしてごめんね」とはっきり 「あやまる」ことも大切です。

 私は、子どもが思春期を迎えてからは、親として接する以外におっちょこちょいで、失敗ばかりしている自分本来の姿を見せるようにして来たせいか、子どもからは「トレンディ晴世の知ったかぶり」と言われたり、怒っている最中に「青天のへきれきだ!」とか「怒っている顔もかわいいね!」などと、からかわれていました。

 自我の問題や進路、体との出会い、異性、孤独などなど、精神的な問題を抱え始めた子どもと向き合うときには、こうしたユーモアや未完成で欠点だらけの自分を見せることも、子どもをストレスから解放したり、自分の家を居心地のいい空間と感じることができることに連ながるのではないでしょうか。

 

 

 

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