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思春期の心とからだ

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思春期相談員・カウンセラー

 佐藤 晴世 

思春期症候群

 

思春期の障害(2)

 思春期の子どもと向き合うことの難しさは私の子育ての経験でもあります。

思春期の子どもが『体調不良』を訴える。こんな時どうするのが一番良いでしょうか?

 「ゆっくり休むこと。栄養をとること。脳へのストレスを減らすために、子どもが気にするようなことは謹んで話題にしない。できるだけ楽しい話題を提供し、リラックス出来る環境を整えること。」

 これは、わたしの長男が思春期に体調を崩して、診察して頂いたドクターからの言葉です。

 

@予期せぬ出来事

 長男は中学2年の春ごろから体調不良を訴えていました。

足の痛み(時に激痛)この時は外科の診察を受け、原因不明のため「膝の関節に内視鏡を入れ、もし半月板が関節に当たっているようなら削りましょう。」と言われました。しかし、結局内視鏡では異常が見つかりませんでした。

 それと平行して、朝起きることができず、無理に起こすと吐き気や腹痛に襲われるのです。

 しかし父親に「しっかりしろ!」と叱られ、無理にも学校に行かせると、とぼとぼと登校する後姿が痛々しいのに、帰ってくる時は元気いっぱいで、母としてのわたしは混乱するばかり。

 その頃私は『思春期外来』などという言葉も知らなかったので、何ヶ所か小児科医を回りましたが、「怠けている」とか、「放っておくと登校拒否になりますよ。」と無理にでも登校させるよう言われました。

 

 親の目から見ても怠けているとはとても思えず、学校に行こうとすると頭痛・吐き気・立ちくらみに襲われ、夜も寝付きが悪くそれが悪循環になっている。どうすれば、この子を助けてあげられるのかさっぱりわかりません。   

AK医師との出会い

  そんな時、市立総合病院の K 医師に診察していただいたのです。

先生は子どもとだけ話をし、親のわたしは、診察室の外で待っていました。

 しばらくして「おかあさん!」と呼ばれておそるおそる入っていくと、「おかあさん心配いりませんよ。今お子さんはとっても身長が伸びていませんか?(この時長男の身長は6ヶ月で約15p伸びていました。)骨が伸びているのに、筋肉も血管もそれについていけないですね。だから、血圧を上げることが出来なんです。」

「お子さんは成長期に良くある起立性調節障害です。今とっても疲れていて、ゆっくり休む必要があります。おかあさん、疲れが取れたらきっと学校に行くとお子さんの方から言い出しますからそれまで、おかあさん我慢できますか? おかあさんがゆったりと構えて、学校を休ませてあげれば問題はないですが、これが一番難しいんですよ。」と言われました。そして、 昇圧剤 を朝飲ませることとできるだけ干渉せず、寝たいだけ寝かせてあげる。そして起きてきたら、笑顔で美味しいものを食べさせてあげることなど、親としての注意点を指示して頂きました。そして、最後に「おかあさんの子育てとか学校でのいじめが原因では無いですから安心していいんですよ。」とつけ添えてくれました。

 一番不安な子どもを差し置いて、自分が不安に押しつぶされそうになっていた私は、K先生の励ましが眩しくて涙ぐんでしまいました。

 そして、決して母親の関わり方を攻めなかった先生にも感謝しています。それまでの私の子育てはどう思い出してもやっぱり長男に過干渉でしたから…。

 

Bあせらない、あせらない!

  それから、毎朝7時に 昇圧剤 を飲ませ、そのまま好きなだけ寝かしてやり、お昼頃さっぱりした顔で起きてきた子どもと、おしゃべりをしながら、昼食を食べました。午後息子は、テレビで科学番組をみたり、マンガを読んだり、ゲームをしたりして過ごしましたが、普段着に着替えることは無く一日中パジャマで過ごしました。

 寝ている時間以外もゴロゴロしていて勉強のことなどケロリと忘れているような息子に何度も口元まで出かかる言葉を飲み込み、K医師の「お母さんがゆったり構える。これが一番難しいんですよ。」という言葉を反芻し、なるべく子どものおしゃべりに合わせるようにしていました。

 

 2週間たった頃、「おかあさん、僕、明日学校に行ってみようかな。朝起こしてくれる?」と聞きますので「いいわよ。じゃあ、起きてみる?」と…内心驚きましたが、そんなにすんなりとは登校できないだろうと思っていました。

 でも次の日から学校に行き3日したら又疲れて休む。一日休養するとまた次の日から登校し3日したら又休むということをしばらく続け、気がつけば、休みが一週間に1日、一ヶ月に1日となり、中学3年頃には一学期に1、2日という状態になりました。

 特別学校に行きたくない理由が無かったことも幸いしたのでしょうが、このように思春期には想像を超えることがおこるものかも知れません。

あの時無理に学校に行かせ続けたら、長男は確実に登校拒否を起こしていたでしょう。

 よい医師に出会えたことで窮地を救われましたが、我が子と同じような思春期性起立性調節障害が原因で学校に行けなくなる子が、きっと日本にはたくさんいるような気がしてなりません。

 わたし自身、他のおかあさんに「朝起きられなくて、学校を休みがち。怒ってでも行かせるようにしているけど、どうしたらいいのかしら…。」と相談された時は、「きっと成長期で疲れるのよ。時には休ませてあげることも大切よ。」と言っていたのに、我が子に同じ事が起こった時、そんな悠長な気分にはなれませんでした。K医師と出会わなかったら、多分学校を休ませつつも嫌味を言ったり、「勉強はどうするの!」「高校に行けないわよ!」と一番苦しんでいる息子に不安をぶつけていたでしょう。夫は「根性がない息子」を強く怒っていたかも知れません。

 

C思春期は袋小路じゃない

 

 思春期とは一人一人に違うかたちで訪れます。塾や部活や受験を控えた子どもたちに訪れる思春期はわたしが過ごした穏やかでのんびりした思春期とはちがい大人の配慮が必要な時代になっています。

 子どもを支えてあげるゆとりのようなものが親になかったら、子どもは追いつめられるでしょう。そして親を支える人も又必要です。ただ大丈夫と言うことだけではなく、わたしの場合は良い医師に出会い、医学的な説明を受けることができ、それが安心材料になりました。そういった意味からも思春期外来で、診察を受けることができたら、子どもと共に親の精神的不安が軽減されるでしょう。

 

 その息子が社会人となり、遠い勤務地から電話もよこさず、たまにこちらが痺れを切らして電話を入れると、「あ今みんなと飲んでるから、あとで…」

 親の心子知らずである。

 今、思春期まっただ中の子を持つあなたへ、袋小路に入ったような気分に陥ることもあるでしょうが、必ず陽の差す方にたどり着くことを信じて行きましょう。一番苦しいのはあなたじゃなくて子ども自身なのだから…。

 

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