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思春期の心とからだ

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思春期相談員・カウンセラー  

 佐藤 晴世  

 

子どもたちの居場所 1

 
全国一斉学力テスト
 

 今年4月に行われた全国一斉の小中学力テストの結果が10月25日に発表されました。今後その結果が文科省や教育委員会、学校レベルでどのように活用されるのか、一部で不安視する声も聞かれます。

 

 文科省はゆとり教育をやめて、授業時間を増やす計画を立てているようですが、授業時間を増やせば学力があがるのか、はなはだ疑問です。

 

 なぜなら、学力が低い子どもたちを見ていると、日常生活に不安を抱えていることが多く、その子達の授業時間を増やしたところで、集中して学習できると思えないからです。 子どもたちのそうしたメンタルな部分の支援をしない限り、授業を増したところで良い結果がでるとは思えません。

 

 今回の学力テストで子どもたちの正解率が低かった応用問題などは、体験的に遊びを通して学んだことが生かされるテストでは無かったようですから(と言っても、体験を通して学べるほど、遊ぶ時間も空間も子どもたちには無くなっていますが)、結局進学塾に行っている子どもたちに有利な結果が出たのではないでしょうか。成績=家庭環境という結果なら、国が行う支援は自ずと変わってくるはずです。

 

 この学力テストを文科省が生かすとしたら授業時間を増やすことよりむしろ、地域格差の中で何が家庭に起きているのかその原因や、朝食を食べない子どもと成績の因果関係を立証し、学力の低い子どもたちに国家がどのように手をさしのべるか、その方策を問うものにして欲しい、またその時期に来ていると感じます。

 

 

朝食抜きの子どもたち
 

 朝食を食べてこない子や、衣服・制服の清潔が保たれていない子、遅れている勉強を家庭では見てもらえない子、そんな子どもたちに行政や教育委員会がどのような手だてをするのか、学校給食費を払わない家庭が増えているといいますが、学力の高い北欧の国々では医療費や学費、給食費は国家が全額負担しています。

 給食費を支払わない親をいくら追求しても、子どもは惨めになるだけです。朝食を食べさせてもらえない子らが、給食費も払っていないと口頭で言われたら、給食さえ喉に詰まってしまうでしょう。

 

 朝食を抜いた子どもたちは脳が働くのに必要な糖分が得られず、イライラしたり集中力がなくなることはさまざまな研究機関から発表されています。それなら、朝食を食べてこない子らに簡単なビスケット程度のものでも食べられるようにするのが先決。「そんなことをすればますます家庭の子育て力がなくなる」という人もいますが、子どもは全ての大人にとって宝のはずです。自分の子どもが食べているから良しでは済まされないと思うのです。

 

 朝食を抜いてくる子には面倒で食べなかったり、起きるのが遅くなって食べてこないなど、その子の生活習慣が原因していることもありますが、親が作ってくれれば、まったく食べてこないということはありません。やはり朝食を食べてこない子には親の愛情が注がれていなかったり、経済的なことが理由になっている場合が多いのです。

 

 国家の予算が福祉に回らない中、朝食抜きの子どもたちにおにぎりやパンを用意している担任や養護の先生がいることを知っています。子どもたちはそんな先生の愛情を受けて、学校の中に居場所を見つけていきます。

 
子どもたちの居場所作り

 私は朝食の大切さを思春期の子どもたちにいつも語るようにしています。最初は「遅刻するから食べてる暇がない」と言っていた子らが、実は親が朝食を用意出来ない、作ってくれない環境で育っていることに気づきます。それでも繰り返し「遅刻してもいいから、何か食べてくるのよ」と言い続けると「今日はパンを食べた」「今日は自分でお茶漬けを用意した。ご飯にお湯かけただけだけど!」と言って笑いながら言ってくれるようになります。

 そんな子に「えらいね!」「成長期だものね」「もう自分で準備できるよね」と励まします。「腹減った〜!」と言っている子には「成長期はお腹がすくよね!お腹がすいたら、勉強イヤになっちゃうね」と声をかけます。

 

 すねていたような子どもたちがこういう会話をきっかけに、案外自分の心の内を語り始めたりするものです。こういう子はお腹がすいてイライラしている一面もありますが、自分の居場所が無くて反抗している場合も多いのです。

 

 私は反抗的といわれ、学校でも家庭でもスポイルされがちな子どもたちに、学力ではなく内面を見てくれる人が側にいれば、いつかきっとこの子たちが持っている力を発揮できる日が来ると信じています。

 今、特別支援教育の中でコーディネーターやスタッフを採用する地域が増えています。これは教育の育の部分を担う新しいシステムです。教室に入れない子どもに別室を提供する学校も増えています。そうして親でもなく教師でもない人たちと安心して数時間を共にするのです。

 こうした新しい教育者たちを通して、子どもの居場所作りが始まっていることは、今の時代にもっとも必要な手だての一つとなるかも知れません。

 文科省や地域の行政は学力の低い学校にこそ、特別支援を強化する予算を付けてみてはいかがでしょう。きっと子どもたちの目が輝いてくるはず。

 今回の学力テストの結果がこういう風に使われたら、文科省は多くの国民から信頼を回復できると思うのですが…。

 

 

 

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