《ホーム》

思春期の心とからだ

bP4

思春期相談員・カウンセラー  

 佐藤 晴世  

 

星の王子さま   〜大人になるための旅〜

 
 サン・テグジュペリが星のお王子さまを出版してから60年が経過とのことで、近年「星の王子さま」の特集やサン・テグジュペリ展が開かれることが多くなりました。

 

 あの愛らしい挿絵とともに一度はみなさんの心を捕らえた作品ではないでしょうか。 あの王子さまを思春期の少年と捉えて物語を読みとくと、多感な少年の心の内がよく見えてきます。

 

あらすじ お話の内容は…

 

 
 

 小さな星に住んでいた王子さまが

世話をしていたバラとささいなことで言い争い

星を飛び出し、いろんな星を巡ります。

 

 出会った大人達は奇妙な人ばかり。

命令ばかりしている王様や

街灯を点けたり消したりしている街灯マン

旅行もせずに人の話だけ聞いている地理学者

最後に地球にたどり着き、

壊れた飛行機を修理している飛行士と出会います。

そして、これまでのお話を聞いてもらうのです。

 次に砂漠でキツネに 出会い

人生について教えられます。

かんじんなことは目にはみえない。心で見なくちゃということ…。

王子さまは小さな星で世話していたバラを想い出します。

「世話をすることは相手に責任を持つことだよ」と教えられ

小さな星の一輪のバラのもとに帰る決心をします。

 王子さまは星に帰るために金色の毒ヘビにかまれ、

自分のからだを捨てて、小さい星に帰りました。

 
 
かんじんなことは目には見えない
 

 「星の王子さま」、思い出されましたか?

 私は子どもの頃、難しくてこの童話の意味がよくわかりませんでした。今読み返してみて、この物語りは思春期の子どもにとって(大人にとっても一生のテーマです。)考えること、悩むこと、人から学ぶことがいかに大切さかを感じます。

 

 この小さな星に住んでいる王子さまは、自分だけの世界で、自分中心に生きている幼い子どもでした。 大切に育てたバラの花が自分にとってどんなに大切で特別な存在であるの気づかずに翻弄される少年。

――読み手によってバラは家族、ともだち、飼っているペット、そしてわがままな初恋の相手にも見えてきます。――

 

 いろんな星を巡って出会った大人達はみんな勝手で、知恵のない、奇妙な人ばかりです。まるで今の日本の滑稽な理念無き政治家や悪徳企業のトップに見えてしまいます。この物語は思春期の子どもたちに、大人がどんなふに映っているのかを見せられているようです。

 

 サン・テグジュペリがこの作品のテーマとした

   ――おとなは、ものそもの ことそのものを見ようとしない

      かんじんなことは目には見えない。心で見るのもだ ―― という言葉が胸にしみます。

 

 子どもは大人に見えないものを見ようとし、大人は子どもを遠ざけ、子どもはそんな大人に失望し、反抗していく…そんな姿を暗示しています。

 

 しかし星の王子さまは、一生懸命機械を直そうとしている飛行士に身の上話を聞いてもらい、哲学者のようなキツネから「物事の本質を見る」ことや「本当に大切なことは簡単には見えないこと」を学びます。そして自分が世話をしたバラがどんなに大切な存在かを知り成長していきます。

 やがて王子さまは子どものからだを捨てて、自分を育ててくれた、そして自分が育てなければならないバラの待つ小さい星に帰っていきます。思春期を乗り越え、真の大人になるために帰ったのでしょうか…。

 忙しい仕事の合間にも、子どもの言葉に真摯に耳を傾けることの大切さを『飛行士』から学ばなければならないのは私たち大人です。そして砂漠のキツネのように示唆にとんだ会話を私たちは子どもとしているだろうかと反省させられます。

 

 バラはどこに咲いているバラも同じようだけれど、自分が真心を込めて世話をすることで、その命が自分にとって、かけがえのないものになっていくさまを教えてくれます。

 何かを育てる経験は子どもを大きく成長させます。

 

大人になっても続く大人になる旅
 

 王子さまが語るバラのお話は何かを育てることのすばらしさや難しさを子どもに語っているだけでなく、私たち大人に、親に、むけて語られた言葉のようです。

 「勉強が出来るから」「いうことを良く聞くから」可愛いのでなく、我が子を「慈しんで育てた」からこそ、いとおしいということを思い出させてくれます。

 王子さまを抱き上げた飛行士は感じています。「こわれやすい宝もの。地球の上にこれより壊れやすいものは、なにもない」と…。「こうして見ているのは人間の外側だけだ。一番大切なものは目には見えないんだ」

 「わたしが、こころで何を考えているかを感じてください」子どもたちから私たち大人に突きつけられた言葉のようです。

 大人社会に対する痛烈な批判も感じるこの物語。からだを捨てて星に帰った王子さまは、私たちの星を見守っていてくれるでしょうか。

 

 

 

 サン・テグジュペリの「星の王子さま」…まるで大人のための童話ですね。

この夏、思春期の子どもを思いつつ「星の王子さま」を読んでみてはいかがでしょう。夜空を見上げながら王子さまの住んでいるかも知れない、小さな星を探してみるのもロマンティックですね。

 

 《多難な思春期1を読む》

 

ご相談・問い合わせ

info@seikyoken.org