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思春期相談員・カウンセラー 佐藤 晴世 |
ドラマ 『14才の母』 |
| 研究所に寄せられる相談事例を紹介してきましたが、まだまだ内容が可愛いというか、 自分の成長に対して素直に 不安 や怯えを見せる 思春期 の子どもたちです。そんな姿からは想像できないようなドラマがはじまりました。『14才の母』というドラマです。 このドラマは、14 才の中学生が妊娠し、出産を決意するというストーリーで今後の展開はわかりません。けれど中学生の妊娠は特に驚く事例ではありません。「衛生行政報告例」に提出された2003年度の 15才未満の中絶数は483件・15才で1,548件・16才 4,795件となっています。 これはきちんとした病院から提出されたデータですから、実際にはこの何倍もの件数になるのではないでしょうか。中絶できる妊娠月数を過ぎて、出産にいたる例もありますが、生まれてきた子どもたちは施設に預けられたり、祖父母に育てられたりするケースがほとんどです。
脚本を書いた井上由美子さんが新聞のインタビューに答え「どの家庭でも起こりうる」「このところ続く事件で、命が軽くなったなあという思いがベースにあり、ドラマでは命の重さ、大切さを考えてほしかった」と語っています。 「今の子供は性や中絶の知識はあっても、いざそうなったときに、事態をどう受け止めるか、考えることが少ないようだから」と紙上で語っています。 では本当に子どもたちが性の知識や中絶や出産のリスクについて知識があるのでしょうか? そんな教育は今の日本で、どこでうけられるのでしょうか? 学校でも家庭でも性について語り合えるような状況にあるのでしょうか? この何年かの間に性教育バッシングがあり、現実には性教育は後退。細々と心ある教師が性について語ってはいるようですが、文科省もきちんとした指針を出していないのが現状です。「してもいいよ。でも性交は教えるな。」「してもいいよ。でも過激になるな」 これでは子どもたちが知りたいことを、学ばなければならない情報を充分手に入れることが出来ません。どのような内容が教師を処分するような過激な内容なのか、どんな内容なら正当な性教育と評価されるのか、解決されないままです。
妊娠に関する情報はほとんど持ち合わせず、セックスが妊娠に直結することすら知らない子どもたちもたくさんいます。それが日本の現状。過激性教育などと批判されるほど性教育は浸透していないのが実情です。 このドラマの主人公は 14才で妊娠し命の尊さに気づいて産む決心をします。それ自体は美談のようですが、14才の少女が出産後どのように自分の人生(進学や就職・子育て)を考えて行くのでしょうか。 赤ちゃんはお人形ではありません。新生児は一日に何度もウンチをしオシッコをします。母乳で育てる場合、授乳は頻繁です。ミルクで育てる場合は 3時間授乳を開けなければなりません。お腹をすかせて泣くこともしょっちゅうで、夜中の授乳は大仕事です。3ヶ月から半年の間は母親は充分睡眠をとることさえ出来ないのです。夫となる人が育児に手を貸してくれるでしょうか? 10代の出産の場合ほとんどの父親が妊娠を知ると同時に逃げ出しているのです。
かりに結婚しても 10代後半から20代前半の若い両親による児童の虐待死を知るにつけ、産めば何とかなるというほど子育ては生半可なものではありません。虐待は子どもの見た目のかわいさと現実の育児の大変さのギャップが大きいから起こるのです。人形のようにきちんとお座りして、アブアブと両手を差し出して天使のような瞳で母親をみつめるばかりではないのです。そしてその大変な育児は犬や猫と違い少なくとも10年近く続くのです。
14才といえば出産のリスクも高いとドラマの中で産婦人科の医師が答えています。研究所に訪れる中学生の相談内容を見ても、初経がまだこない。月経周期が整わない。胸が小さい。など、思春期は肉体的にまだ子どもなのです。 子どものからだで妊娠すれば中絶も出産も生命に危険があることは推して知るべし。どんな場合も正当化するべきではありません。 なりゆきで、セックスをする。特にこのドラマでは怖い人に追われて逃げ込んだ先で事に及んだというあたりセックスを正当化するためにわざと作られたストーリーとしか思えません。 もし、親に嘘をついて彼の部屋で確信犯的にセックスをしても、このドラマは、命は尊いことを理由に産ませるのでしょうか。 命が尊いからこそ、あなたが本当に育てられるようになったとき、中絶した子どもの分まで、その子を大切に育てなさいと諭すことも出来るはず。妊娠や出産をきれいなことに描いて欲しくないと思います。
世界人口白書の調査( 2003)で日本の10代の避妊実行率の低さがあげられています。日本の恋愛ドラマではセックスは描いても、STDや妊娠についてはほとんど描かず、決して避妊などを教えません。ドラマだからきれいに劇的に描く必要があるのかも知れませんが、そうしたことが若者の行動にも反映されているのではないでしょうか。 「 14才の母」今後のドラマの展開がどうなるのか、もしかしたらいろんな意味で今の性教育のあり方などが問われるドラマになるのでしょうか。そうなるならばうれしいのですが…。 |
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