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思春期の心とからだ

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思春期相談員・カウンセラー  

 佐藤 晴世  

 

子どもたちの悩みから

〜 女の子 編〜

 

 女の子の相談で圧倒的に多いのは、スタイルに関することです。また月経に関する相談も科学的な情報が少ないのか初歩的な質問の多いことが特徴です。

男子が性器に固執してコンプレックスを感じているのと対照的に、女子はルックスに大きな関心を寄せています。

 女の子がコンビニなどで購入する雑誌の多くはマンガ系とファッション係です。マンガ系は圧倒的に恋愛もの。これは今も昔も変わりませんが…内容には大きな変化が感じられます。手をつないだりキスをしたりするまでに時間のかかった、あるいはただ逢っていたいというプラトニックなものが昔は多かったのですが、今は性表現もあらわなものが多く、すぐに Hしようという展開になります。

 ファッション系雑誌では細くて背が高く胸の豊かな、大きな瞳の女の子がモデルです。モデルが着ている服やバッグ、靴、小物、化粧品にいたるまで『めちゃもてグッズ』として紹介されています。次に『めちゃもて体型』になるための整形(二重まぶた・脂肪吸引・シミ除去・脱毛・豊胸手術)・ダイエット食品の広告が並びます。そうした情報に少女達はすっかり取り込まれてしまいます。

 
1) 胸の悩み
 
 少女雑誌や少年雑誌のマンガに出てくる主人公の少女の胸は大きくて、はちきれそうです。私が 10代のころ、女の子が胸の大きさで悩むことはあまりありませんでした。 女子同士で『ペチャパイ』などと互いにからかうことはあっても、深刻に悩むことはありませんでした。なぜなら自分の友達や同性の家族が自分にとっての対象モデル。さほど大きさの変わらない連中と比べているわけで、誰と比べても五十歩百歩、悩む必要がなかったわけです。むしろ胸の大きな女の子が悩む時代でした。日本人は若いうちから胸が大きくなる遺伝子をあまり持っていませんから…。

 マンガや雑誌に巨乳アイドルが登場するようになって、胸が小さい子は必要以上に心をいため、自分はもてないのではないかと悩むようになりました。

生活スタイルが変わったとはいえ、遺伝的な要因に帰する所の大きい体型がこんなに急激に変わるとも思えません。どうやってあんなに胸の大きいモデルばかり集められるのでしょう。子どもたちの『もてない不安』を豊胸手術の広告があおっています。

 私はこうした相談を受けたとき、彼女たちが胸の大きさに悩むことを否定はせず、入浴時に軽くマッサージをすることをすすめています。その上で「外見だけで女性の価値を決めるような男の子をあなたは好きですか?」と投げかけます。「あなたの内面を好きになってくれるような人が現れるように、あなたも外見だけなく内面も充実させてください」と言葉をそえます。そしてブラの中に、いらなくなった肩パットを偲ばせる『超お得リサイクル術』などを教えます。「人間はコンプレックスがあるからそれを克服するために科学や文化が発達したのよ。今あるコンプレックスをバネにして」とアドバイスします。

 小学校高学年から中学生にかけてはブラの選択も悩みの種。「お母さんになんといったらブラを買ってもらえるだろう」「どんなブラがいいのか誰に相談すればいいですか」と小さな胸を痛めます。

 胸の小さいこととは一線を画しますが、乳頭が出てこないという相談事例も多いです。 巨乳のアイドルやマンガの主人公の乳首が Tシャツから透けてツンと飛び出しているのを見ると、どうしても自分の乳首は貧弱に見えるのでしょうね。ただし陥没乳頭ということもあるので、相談は慎重に答えるようにしています。ほとんどの場合二十歳くらいまでにはちゃんと乳首も成長してくるものです。

 
2) ダイエット
 

 これも雑誌などから得た情報によるところが大きいのでしょうか。

 モデルは細くて八頭身の美女。スリムな服がよく似合う。いいなあと思いながらページをめくるとダイエット食品の広告。使用前、使用後のモデルの写真。これがCGで作られた可能性があるとは子どもたちには想像出来ません。

 怖いのは一度ダイエットを始めると目的は細くなることではなく、ダイエットそのものが目的になってしまうことです。友達同士でダイエットを始めても思うように体重が減らない子はそうそうにリタイヤして「やっぱり食べたいものは食べたいのよ!」となるようですが、思い道理に体重が減った子は、ダイエットそのものが快感になっていきます。そうすると脳が空腹の指示をだしても食べたいと感じなくなってしまいます。逆に食べることに不快を感じ嘔吐したりします。拒食の始まりです。

 親子関係がいびつな子が拒食症に陥りやすいといわれますが、最近では意思の固い真面目な子が重症の拒食症で運ばれることが報告されています。「頑張ることが良いこと」という刷り込みが「途中であきらめること」「簡単に放棄すること」を許さないからでしょうか。

ダイエットが怖いもう一つの理由は無月経になることです。

 性ホルモンはコレステロールから作られます。知識のない若い人のダイエットは脂肪や糖質を摂らないことで体重を減らすことが多いようです。サラダばかり食べたり、コンニャクダイエットや、りんごダイエットはその代表例です。こういう食事は体重が面白いように減り、またある程度満腹感も満たされるので、あまり体に悪いことをしているという意識もなく長期間続けられるのでしょう。

 しかし、あるとき急に月経が来なくなり、ダイエットをやめてもなかなか元に戻りません。 3ヶ月無月経の場合、再開しても無排卵月経のことがあります。女性ホルモンが分泌されない状態を半年放置すると、不妊症の原因になることもあります。女性ホルモンはそれ以外にも体調を整え、心を安定させる役割も担っていますから、そのホルモンがなくなるということはコラーゲンが生成されなくなり、骨粗しょう症の原因になりからだ全体を老化させます。また理由もなくイライラしたり暴力的になったりします。

 ダイエットでかっこいいスタイルなることをあおり、ダイエット食品を販売するような広告主はそのまえにダイエットの怖さを一緒に広告してほしいものです。

 このような過激なダイエットを可能にしている一因は子どもの食事に関心を持たない、一緒に食事をしない個食などの家庭環境もあげられます。『ありのままの自分が愛されている』『自分は自分だ』という肯定感の欠如もダイエットに拍車をかけるようです。

 
3) 月経
 

 女の子は月経についての悩みも多いです。

 当研究所の悩み相談でも自分の初経が友達より遅いことを気にしたり、月経が始まるともう身長は伸びないのですか?と心配するメールがたくさん来ます。

 女子は早い子で小学校3年生(もっと早い子もいます)遅い子で中学3年生くらいに初経迎えます。高校生になっても初経を迎えない場合は下垂体や卵巣の異常が心配されますので婦人科の受診を勧めています。

 女性ホルモンが分泌されはじめると下着に透明なおりものが付きます。月経が近くなるとおりものが黄色っぽくなったりさらに茶色のものが下着に付くこともあります。子どもたちはこのことを病気ではないかと心配します。「これは自然なことですからまったく心配いりません」と答えています。

 徐々にこうして初経を迎えるのですが、茶色いおりものだけで初経が済んでしまう子もいれば突然出血して学校で衣服を汚してしまう子もいます。10人いれば10人違う形で初経を迎えるのです。また月経は周期が整うのに2,3年かかります(もちろんもっと早く整う人もいます)その間、月経があったりなかったりで悩む事も多いようです。

この時それが生理的(体質・遺伝的な要素など)なものかダイエットなど別の要因があるかどうかを見極めることも必要だと思います。

 
女の子の相談からみえてくるもの
 

 子どもたちがこのような悩みを保護者に打ち明けられずにいるというのは、単に反抗期といって済まされない普段からのコミュニケーション不足があるのではないでしょうか。勉強や生活態度にばかり注意がいくような会話でなく、もっとなんでもない事柄で会話できる親子関係を作って欲しいなあと思います。

 学校での性教育もなかなか充実してこないことや、単に初経教育になっていたりすると子どもは自分のからだが、これからどのように成長するのか展望を持てません。

 また、母親の「面倒くさい」「早く来ちゃったわね」という言葉で傷つく子もいます。母親側からみれば何気ない一言でも、娘からはお母さんの女性観・人生観が見て取れて、子ども自身の人生観まで否定的になってしまうことがあります。

 お父さんに育てられている女の子が「お父さんが女の子の生理に関する本を買ってプレゼントしてくれました。」というメールを寄せてくれました。

 男性には女性の生理や心理がわからないということで、先入観にとらわれずわが子に向き合った事例です。自分が性に関して向き合えない、語れないと思ったら母親も娘に対して、このお父さんと同じように素直な気持ちで「お母さんは勉強してないし、ちゃんと教えてあげられないのよ」といって本などをプレゼントできるといいですね。

参考図書紹介

『おとな図鑑 男の子って? 女の子って?』(小学館)

解説・高柳美知子 まんが山辺麻由 800円+税

『性ってなに?』 (新日本出版)高柳美知子著 1400円+税

『わが子に性が語れますか?』(三友社出版)高柳 美知子著 600円+税

『わが子に贈る「性」のQ&A』(三友社出版)山本直英・高柳美知子著600円+税

『Q&A子どもの性の相談室』(大月書店9) 高柳美知子編著 1600円+税

『 卵子 story 』 (小学館)きくちさかえ 鈴木賀世子 著  監修:早乙女智子 1,050 円

 

《 ドラマ『14才の母』を読む 》

 

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