「歴史の証言を聞く会・研究所総会」は、以下の日程で開かれました。概要を報告いたします。(以下の報告は、所報より転載されたものです)
◇4月19日
(土) 1:30〜4:30
あなたは731部隊を知っていますか
〜篠塚良雄元少年隊員の告白〜
研究所総会に先立ち「歴史の証言を聞く」集いを持ちました。
証言に立った篠塚さんは、85才の高齢で、歩くこともままならぬお身体にもかかわらず、立ち上がって「証言」を始めると、終わるまで直立して話されました。ただ昔話をするのではない。残虐行為の告白をするのだ。との想いから、今までずっとそうされてきたのだそうです。証言内容は、新聞「赤旗」4/20号に掲載されましたので、転載いたします。
証言したのは、元731部隊員の篠塚良雄さん。1939年、15才で731部隊の母体である陸軍軍医学校防疫研究室に入隊しました。
その後まもなくして、中国東北部の日本のかいらい国家「満州国」とモンゴル国境でノモンハン事件が起きました。篠崎さんは最前線まで細菌兵器を運びました。「生物・化学兵器が実戦で使えると実証したのがノモンハン事件だった。その後、大量に生産された」「生体実験や生体解剖は医学の発展とは無縁のものだった。目的は猛毒な細菌を作ること以外なかった」と篠崎さんは言います。当時、実験対象の人間を「マルタ(丸太)と呼び、「何本倒した(何人殺した)」と兵士同士で話していました。「私たちは人間性を失い、尊い命を何とも思わない人間になっていた」と話しました。
● 会場からの質疑が、短時間でしたがされました。
Q 『悪魔の飽食』に関して。731部隊を題材としているが、「良い本」といえるのか。
A 資料として、少年隊員の証言を集めたのがひとつ。中国現地で、中国人の証言も集めた。731部隊の犯罪性は、生体実験・生体解剖だけではない。証言を集めて、犯罪性を暴いた点では『悪魔の飽食』は良かったと思う。
Q 『戦争と人間』についてはどうか。5大財閥が実質指揮していた、資源略奪が書かれている。反中国的書物とも言われているが。
A 中国の資源収奪の元締めが、河北交通の社長になった。財閥の犯罪性は今はあまり出てない。高級官僚の供述書には出ている。
Q 戦犯管理所職員との交流が、現在まで続いているようだが・・・
A 管理所所長らは、文化大革命時には引き回しにされている。文革後「中帰連」(中国帰還者連絡会)が日本に招待した。その後交流が広がり、管理所の50周年記念行事の時に招待された。文革時には分裂していた中帰連が、中国との交流後ひとつにまとまった。ひとつの団体が分裂後、再度まとまるという珍しいケースになった。
演奏とパネル展示
公演開始前には、目黒区在住で、「9条山墾根寺住職」を自称されている中村昭三さんの「手作り一弦琴」のメイ器「ステラレゴミダス」による演奏がありました。
養護学校の教員をされていた中村さんは、ゴミとして捨てられてしまうものを、様々に有効活用されています。「廃品からどうしてあんな素晴らしい音色が出るのか」と思うような、哀愁を帯びた音色での演奏でした。参加の皆さんも、うっとりして聞き入っていました。
会場には、「ABC企画委員会」のご配慮で、「あなたは731部隊を知っていますか」のパネルも展示され、40名近い参加者の理解をよりいっそう深めました。
「ABC」企画とは、「731部隊展」と「毒ガス展」を企画した市民団体が合併し、A=核兵器、B=生物兵器、C=化学兵器の廃絶を目指して活動している団体です。731部隊遺跡を、世界遺産登録しようという活動もしているそうです。詳しく知りたい方は、インターネットの「ABC企画」で検索してみてください。
● 講演を聴いて
Nさん 自分のなかにある加害性をどう表出するか。人間は環境によって左右される。鬼にもなるし、真人間にもなる。周りとの関係を大事にして、自分をどう表すかを考えねばならないと思った。
篠塚さん (Nさんに答えて) 人間はある状況におかれると殺し合う。戦争は絶対にいけない。憲法9条は死守したい。
Kさん 戦争経験者の話を聞くのは、今回が初めてだった。中学の養護の先生に誘われて参加したが、来て良かった。体験者の話に感動した。体験者の話を聞く機会は少ないが、関心持たなくてはとの想いを持ち続け、今後も機会があれば参加していきたい。(半ば照れながらも、真摯に感想を語ってくれた、最年少参加者のKさんは、講演終了後、篠塚さんとの記念写真に収まりました。)
黒澤利時さん 通常であれば絶対にできない人間の生体実験が医学研究の名において、丸太と呼ばれた捕虜を生きたまま解剖し、貴重な資料にしたのでした。
軍隊とはそもそも人殺しを合法化する組織ですが、全く罪のない人間がこうしてたくさん殺されました。・初めは真面目な医学生たちも実験を重ねるなかで、人間性をどんどん失っていきました。
石井四郎中将を初め部隊の指導部は、生体実験の資料をアメリカに引き渡し、戦犯となることを免れただけでなく、戦後製薬会社や大学医学部に就職します。薬害エイズもあって当然です。
私は篠崎さんのお話を聞き、憲法を守る運動をさらに盛り上げたいと思いました。そして篠崎さんが健康で長生きされ、貴重な経験を語り続けて戴きたいと切に思います。
731部隊の犯罪性と今日の関わり
篠塚さんの話に続き、保田弁護士から、731部隊の犯罪性は、今問題になっている「薬害C型肝炎」や、薬害エイズ問題に続いている犯罪性であることが話されました。
731部隊員は、石井四郎だけでなく、多くの幹部が帰国後、大学教官や製薬会社役員として、医学界、薬学界に身を置いてきている。薬害エイズのミドリ十字にも幹部が関わっている。今回のC型肝炎の裏にも同様の経緯がある。
日本軍の犯罪性に対し、撫順収容所における中国側の扱いは、ソ連など他地域とは、著しく異なるものであった。周恩来の指導で行われた戦犯の処遇は、兵士らを文化活動のなかに置くものであった。そのなかから、真の人間性に目覚めた兵士らが、帰還後「中帰連」を組織して、日中友好に努めている。現在では、帰還兵が高齢化したこともあり、「撫順の奇蹟を受け継ぐ会」としての活動に引き継がれている。
一方、旧海軍の組織など、戦友会組織は全国的にあり、民主主義の今日でもしっかり残っている。こちらも高齢化に伴い、兵士の子どもたちを取り込み、父親を誇りに思わせることにより、活動の継続を図っている。元憲兵隊員の証言によれば、憲兵隊も堅い組織を守っているとのこと。
憲法9条が、アジアの友好の基盤となっている。もし、9条を改正するようなことがあれば、アジアの友好の面では日本が消滅することになる。
総会は原案可決で終了
総会には、所員、オブザーバーを含め、約20名の出席で、'07年度の活動報告、決算報告、'08年度の活動計画、予算案、すべての議案が、原案通りで可決されました。
今年度は、大阪在住の杉山さんに副所長をお願いすることで、関西での研究活動の活発化を期待し、予定時間に審議を終了しました。
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