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研究所相談員・カウンセラー 佐藤 晴世

 

(1)感覚を育てる
 

@生きることすべてが性教育

 

  ファースト・クエスチョンで性教育について書きましたが、語るばかりが性教育ではありません。生きることすべてが性教育に連ながると思っています。食や睡眠について学ぶことも大人のからだになるための大切なことです。コミュニケーション能力を育てることは人間らしくあるための中でも最も大切な教育です。弱い人や少数の人を大切にする人権教育は、将来、力で支配する人間にならないために重要なものです。

 そうした教育の下支えになるのが人間の入れ物である皮膚を敏感にすることです。外側の世界や同じ仲間を良く知るには皮膚はとても大切な情報源だからです。

 
A皮膚について考える。
 

 何の情報もないまま生まれてくると思われていた赤ちゃんですが、近年脳科学が発達して、赤ちゃんはお腹の中でも色を感じ母親や身近な大人や子どもの声を聞き分け、指を吸って乳首に吸い付く感覚を磨いていることがわかってきました。また怒りの声や大きな音には胎児も恐怖を感じ、穏やかな音にリラックスします。

 そして生まれてきた瞬間からこの世界を探ることに集中します。

 最初は寝てばかりいるように見えますが、実は目を閉じて外の世界を音と匂いと皮膚の感覚だけで熱心に探検していることがわかってきました。ですから、眠っているからと放っておかれる乳児と、目を閉じていても、優しい声で話しかけられたり、胸に抱かれる乳児では外の世界に対しての情報量が大きく変わります。

 

 やがて、自分の力でうつぶせになり、ハイハイをし、ありとあらゆるものを見逃さない集中力を発揮します。このころの乳児は舐める、触る、握ること全てが脳を発達させます。家の中の全ての『出っ張り』が彼らの興味の対象です。小さなゴミ・裏返ったスリッパ・電気のコード・コンセント・バリバリ音のする新聞・ペラペラめくれる雑誌。着ている服も引っ張ったりくわえたりしているうちに脱げてしまうほどです。タバコを舐めたり食べたりするのもこのころです。やがて、立っち、初めての一歩と人間らしく成長していきます。

 

 けれどまだまだ進化の途中。脳は人間であることより動物としての経験を積んでいくことに集中します。ビニールの床材やプラスチックの加工品に囲まれているよりも、柔らかい布や木材が乳児の心を安定させます。人間が作り出した自然界にないものは、生理的に幼児には不安要素になるのでしょう。さらに動物として長く生きてきた土や水たまりや草の中で過ごすことは、より脳を発達させます。皮膚を刺激する複雑な要素がたくさん含まれているからでしょうか。子どもは遊んで、遊んで、遊びながら、ついにたくさんの情報を統括し、人間の仲間になっていきます。

 

 

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