「ここから裁判」高裁第6回証人(古賀俊昭都議)尋問傍聴記

                                      

 
◇これまでの経過
  09年9月3日に高裁第1回口頭弁論が開かれてから、11/12に第2回、10年2/4に第3回、4/20に第4回の口頭弁論が開かれました。第1回・2回には、それぞれ一審原告側は、原告2人が約10分ずつ意見陳述を行いました。
  原告保護者は、「こころとからだの学習」は子どもだけでなく、保護者にとっても大切だったのに「アダルトショップのよう」などと報道され、大変ショックを受けたことなど切々と訴え、原告教員は子どもの一言から生まれた教材(子宮体験袋)や保護者の要望もあり、子どもたちが2次性徴を肯定的に受け止められるように工夫して作成した教材(箱ペニス・ペニス付きタイツ)などの使い方を丁寧に紹介しました。裁判官もしっかり原告の意見陳述を聞き入っていました。
  また、第1〜第4準備書面と茂木俊彦教授・夜取山洋介準教授の意見書を提出。そして7/8の弁論期日に被告らから反論書・陳述書が出されました。
 
◇控訴審当日
  2010年9月14日(火)午後12時。地下鉄「霞ヶ関」を出るとすぐ、裁判所方面から「七生のヘンタイ教育を正せ」「セックスを煽りたてる日教組のヘンタイ性教育に反対」の怒号が聞こえてきました。怒鳴っているのは、教育正常化裁判支援の会の面々。
  彼らが配っているチラシには、次のように記されていました。
  「古賀俊昭・土屋敬之・田代博嗣等三都議は平成十五年、都立七生養護学校等で行われている東京都の性教育の実態について調査し、石原慎太郎都知事も驚愕して述べた『グロテスク』な過激性教育の現状を明らかにしました。そしてこれを機に全国で公然とまかり通っている子供の発達段階を無視した異常な性教育を早急に是正すべきとの機運が高まりました。ところがこれに逆上した同校の性教育過激派教員等と降格処分された元校長は、精神的苦痛を受けたとして三都議、都教委、東京都、そして実情を報道した産経新聞を平成十七年五月十二日、東京地裁に損害賠償等を求めて提訴しました。
  この裁判の判決が平成二十一年三月十二日に言い渡されましたが、内容は、三都議が行った一般的学校視察を「不当な支配」に当たると重大な誤認を犯しています。これは子供を実験台にしたおぞましい過激性教育の実態を無視した許し難い偏向判決であり、到底承服できません。(以下、略)」
  なんとも理不尽な主張のチラシを配っている若い男性に、「なんで性教育に反対なの」と声をかけると返ってきた言葉は、「動物は何も教えてもらってないでしょ」「障害者は性交はしなくていいんだ」といった聞き捨てならない言葉ばかり。といって、本気で相手をするのはばかばかしく、口論になっては危険でもある…ということで、傍聴の抽選を待つ列に並びました。
  幸い、抽選にあたって101号室へ。13時30分開廷。
  明るいブルーのスーツを着込んだ被告の古賀証人は、すでに都教委側の席に座って、傍聴席をちらちらと眺めています。

◇一審被告古賀証人の陳述書
  「……田代都議も都議会議員として、品位に欠けるような発言を態々する必要もなく、現実に行っておりません。どちらかというと、女性教諭の余りに挑戦的な態度に、それはおかしいのではないかと、敢えて丁寧にたしなめたものです。その場で、私は都教委の指導主事に対し、よく調べないといけないねと言って、その場は収まりました。結局誰もその場で実際に書類を取り上げたりしたことはありませんでした。
  一方、土屋都議は、もう一人の女性教諭に対し、からだうたのことについて、話していたようですが、別に大声を出していた訳ではなく、どのような会話がなされたのかまでは、までは判りませんでした。    
 田代都議と土屋都議二人の女性養護教諭との会話は以上に尽きます。
  私は、先ほど述べたように、都教委の職員に対して発言したことはありましたが、二人の養護教諭と一切交わしたことはありません。そもそも二人の養護教諭は初めから硬い表情で視察に対処しており、フランクに自分たちの行っていることを説明しようとする態度は全くありません。通常、都議が行う視察というのは、受け入れ側は一生懸命に実情を判ってもらおうと説明するのが普通なのですが、女性教諭の態度は、最初から最後まで硬い表情で、かなり拒絶的姿勢を示していました。……(中略)
  養護教諭との対話はごく少ないものに過ぎませんでした。その上、私は養護教諭と一切かわしておりません。保健室内での都議3名の行動については、単なる通常の視察に行う以上のことを考えておりませんでしたので、3名の間で事前に打ち合わせをしたこともありません。
  しかも、田代都議と土屋都議とがそれぞれ養護教諭と交わした会話が、殊更に脅迫的言辞を弄したとか、屈辱的言辞を弄したとかの養護教諭の主張は、全く為にする主張であると言わざるを得ません。……(中略)
  私は、今回の原告からの提訴を受けた直後から、地元日野市において、数え切れないほどの嫌がらせを受けております。すなわち、地裁判決以前から、ことあるごとに七生養護学校の件で、私を誹謗中傷するビラを撒かれております。今回の原告らが中心にならなければ、そのようなビラを作成することはできないでしょう。……(中略)
  ことほど作様に、本訴訟事件は、正に政治的意図をもった訴訟であり、弱い立場の教諭に対し、都議が権力を行使して侮辱・脅迫したというものではありません。(後略)」

◇上記の古賀都議の陳述が、いかに独りよがりの勝手な放言であるかは明々白々です。
  原告側の反対尋問は、4人の若い弁護士によってなされました。それぞれの弁護士の尋問は、問題点をよく練りあげられており、チームワークの効果とも相俟って、終始、見事な展開でした。返事に窮した古賀都議が「持論」を述べ始めると、それを裁判官が、「意見はいりません。はい、いいえの返事だけをしてください」とたしなめる場面が何回もありました。次回の高裁は、10月28日(木)1時半〜です。
                                                        (高柳美知子記)