「ここから裁判」は、いよいよクライマックスを迎えた
       ー 第9回公判傍聴記 ー

 3月25日、13時30分〜16時まで、東京地裁103号法廷で、「ここから裁判」の第9回公判が開かれました。
  当日は、被告である土屋都議、田代都議と、河合産経新聞記者の証人尋問が行われるとあって、裁判支援の傍聴者だけでなく、被告側の傍聴者も来たため、傍聴は抽選となりました。法廷には入れず、裁判後の「報告集会」のみの参加者も多かったようです。

 最初は、被告側が最初に承認申請した田代議員。次が、都議会民主党総務会長の土屋議員。最後が、産経新聞の『過激性教育 都議ら視察』の記事を書いた河合記者の順に尋問が行われ、途中休憩もなく、2時間半ぶっ通しの尋問でした。「傍聴のしおり」に基づいて報告します。個別の証言がはっきりするよう、複数の弁護士質問をまとめました。

田代都議証言
  田代議員は、2世議員で、父親が被告側代理人席にいました。
証言1 障害児への性教育について
  医師の立場で、性教育には関心がある。性感染症の低年齢化は、不妊につながる。予防のためには性教育が必要。
  都議会文教対策委員会で論議し、七生養護以外の教育視察もしている。
  性教育に対しては、1知識を持たせる。2意義を持たせる。3道徳を持たせるの、3点を平行して行うことを持論としている。障害児に対しても、3点を持たせることが必要。性教育は大事であり、障害児の性教育には賛成する。
  性教育は生殖を中心に考えること。人間は子孫を残すことが摂理である。すべての人が子を授かるとは限らないが。性行為には道徳的規範が必要である。すなわち、快楽の追求のみの性行為は許されない。快楽だけを求める自由は、本人にもマイナス。

証言2 視察当日の行動について
  最初は、校長室で校長から説明を聞き、その後保健室へ移動した。
  保健室に入っただけでは、雑然とはしていたが、問題はなかった。資料となる物を、参加者10人ほどが手分けしてみた。
  養護教諭は非協力的で、性教育実践資料を見せてほしいと要求したが、反応は良くなかった。拒絶行動があった。私物が含まれるからと、持ち出しにも拒否した。養護学校の正常化にたいして協力するよう要請した。
  「俺たちは国税と同じだ」との発言について。国税庁調査の場合は、国民の代理として入るときは、すべてを見せるのが当然で、必要なものは出すべき。大声を出したというが、やましいことがなければ、そんなことは思わないはず。サンケイ記者も居たから、大声は出していない。「国税だから、1円まで暴く」と言ったかどうかは記憶にない。

証言3 視察の意味について
  七生の性教育の場合、性教育の意義を分かって教えるべきで、知識だけ教えるのでは、バランスを欠く。知識、意義、道徳の3点やるべきなのに欠いている。指導者が性知識のみに偏り、あとの2点を知らないのでは。
  都教委への視察を申し出た。現場では物を見るだけ。非協力的だったので、話はしなかった。養護教諭への説明を求めなかったかどうかは、記憶にない。
  立法府は、行政府のチェックをする立場にあり、立ち入り調査も職務の一つである。通告しての調査だから、当然協力すべき。
  問題ある性教育している意識は持って臨んだ。問題なければ、視察に来られてもびびらない。都教委以下これだけの人間が、通告して、教育長視察するのだから、協力するのは当然。都議が都教委に指示したかどうかは、記憶していない。
  都教委発行の、15年版性教育手引き書には、外性器が載っている。視覚的教材は必要である。視覚的教材の重要性は知っている。
  行政調査の立ち入りは、法的規定に基づいているのか。どんな権限で、教材を持って行かせたのかは不明。
  教育は、3権分立のことからすれば、4権目になる。行政のチェック方法についてのチェックが必要。保健室すべての教材をチェックしてほしい。
  今回の人形や教材の扱いについて、少数の都議からは批判が寄せられたが、大多数は賛同ばかり。

土屋都議の証言
  土屋議員は、最も年配で、70代に見えましたが、実際は50代後半です。
証言1 性教育に関心持った経過
  中学教師から性教協機関誌(注『セクシュアリティ』を指す)を見せてもらい、全部読んで驚き、性教育の現状を知った。
  性教育の実態を知らせるため、都議会で「過激性教育」質問をした。
  七生養護は、古賀都議の近くであるので、たまたま行った。被告以外の同行市議の選出に基準はない。教育に関心ある者が行った。

証言2 当日の行動について
  産経新聞のみ声をかけて同行した。「教育の森」など教育関係の記事を書く新聞だから、声をかけた。朝日、読売、毎日は、呼んでも来ないと思った。
  校長説明では、勤務時間中の飲食、教員のやる気の無さなど、着任後の驚きが話された。
  保健室では、養護教諭に、からだ歌を公然と人前で歌えるかと質問した。なぜ歌うのかを問いつめたというが、受け止め方には個人差がある。意識の違いがある。答えられずに泣いたのではないか。
  性器名称を言わねばならぬか、なぜ言うのか、性器名称だけを言うのはおかしいと言った。
  保健室には、性教育教材が、中央の机に並べられていた。人形は小さなものがあったと思う。ペニス模型もあった。本棚には性交人形がなかったので、どこにあるか聞いた。人形が服を着ていたかどうかは不明。性教育コーナーを作っているから、興味があった。性教協の写真(『セクシュアリテイ』誌のこと)にある七生の写真と、現場とが違っていたので興味を持った。服が最初から脱がされていたかどうかの記憶は曖昧。

証言3 展示会開催について
  実態を広く知らせたいため、都職員、一般市民、議員を対象に、七生養護に限って展示した。展示品は、都教委から提示された。
  「日本の家庭を守る・・・会」は、便宜的な名称である。実態はない。

証言4 都議会での質問、その後の行動
  都教委は、都議からの質問まで、指導要領逸脱の性教育されていることを、充分認識していなかった。過激な性教育についての意識はなかった。
  都立養護小学部で、からだ歌を歌わせていたとの質問時に、七生との認識の有無は不明。いくつかの学校でやっている。校名は不明。
  サンケイ新聞への、裸の人形の写真掲載については、撮影に問題は感じない。
  都議は、教材の適否についての判断者ではない。常識ある性教育からはずれている。教材の総体で不適切である。教育長も含めての指導を求めた。校長の自主判断だけでは足りない。
  ペニス、ワギナは、人前で言う言葉ではない。張り型性器や、未使用の模型を何年生で使用するのかは知らない。高3の授業内容は知らない。指導要領外の指導内容であることは知っている。七生についての都教委の評価は知らない。
  視察に関する行動について、東京弁護士会から勧告が出ているが、弁護士会の勧告などは、ろくなものじゃない。
  他新聞にも、純潔教育が必要と言ったが、報道の有無は知らない。
 
河合記者の証言
  河合記者は、まだ30代くらいの若い記者でした。
証言1 7/5の記事について
  7/5の記事は、取材をもとに書いた。7/5の記事のみ担当した。
  当日は、デスクからの指示で、都議と同行した。デスクの説明では、性教育について都議会で取り上げている。古賀都議から要請があったから、行ってこいとのことだった。
  7/2、3に、性教育の報道記事を読んだ。現場に行くまで、七生の名は知らなかった。 視察の都議が誰かは、同行して初めて知った。古賀都議とは面識ないが、土屋都議とは別件で面識はあった。サンケイが呼ばれたのは、教育に熱心だからと思う。
  古賀都議が他紙にも連絡したかどうかは知らない。取材許可は、校長に直接取った。事前に都議との打ち合わせはしていない。都議以外の視察者は、会議室で初めて会った。

証言2 保健室での行動
  都議に続いて保健室に入ったが、その時点で、人形が床に並べられていたかどうかの記憶は、定かでない。人形は並べられていたと思うが、人形の服を脱がせたかどうかの記憶はない。
  通常人形の下半身は出しておいてない。が、使用する時のように下半身を出した写真を撮った。下半身を脱がせて撮影しないと、過激性は伝わらない。どういう使い方をするかの話を聞いていたから、授業を見なくても分かる。教材がどういうものかを提示しただけで、読者がどう見るかは別の問題。
写真撮影は、自分の判断で行った。頼まれての撮影ではない。性器付き人形、性器模型を見て、都議や市議と話し合った。
  教員の態度は、明らかに不満そうで、最低の受け答えだった。

証言3 記事掲載について 
  記事の掲載は、デスクの判断による。七生を匿名にすることは考えなかった。性教育のあり方を問題にする記事だから、記事からの人物特定は不可能と判断した。『見出し』については、その担当部署がした。アダルトショップのようだという記事は書いた。性器付き人形を使っての授業は、指導要領とかけ離れている、非常識で行き過ぎの授業と感じた。
指導要領は、取材に必要な部分のみ読んだ。
  要請があって取材に行ったが、行ってみて、大きな問題だと気づいた。デスクは、取材結果の報告を聞き、内容を知った。それまでは、行き過ぎとだけ知っていたにすぎない。
  「口々に言った」の記事は、意図して書いたのではない。常識外と言ったのは、都議数名。アダルトショップと言ったのは、市議1名くらいと記憶している。
  校長は、保護者からの苦情があり、やめさせたいが、校内推進派の抵抗にあいできない。と言っていた。校長の事前チェックは受けていない。取材して書いた。
  7/5の記事は、校長と現場に対立がある問題だが、校長が責任者だから、両者の意見を聞くのではなく、校長の意見を聞いて書けばよいと判断した。
  性教育は、校内のかなりの教員がしていたと思う。
  人形は、大学や警察などで使用されているものだということは、知らない。
  サンケイへの「この記事はひどい」との抗議があったことは、覚えていない。
  七生保護者からの「きちんとした教育しているのに、親をバカにしている」との抗議に対し、保護者への取材の必要性は思わなかった。取材の公平性を欠いていたとは思わない。
  服を着ている、通常の展示の様子の写真については、知らなかった。
  障害のある子に対する性教育の取材を、したことはない。
  記者の倫理として、現場の教師の声を聞くことの検討は、具体的に聞いたことはない。
  指導要領外の教材使用に疑問がある。知事、教育長、校長が不適切としている。都議の質問は取材している。

 報告集会では、所長代理として「騒ぎになった『人形』は、研究所が輸入したものです。人形達の復権のためにも、よろしくお願いします」と発言しました。
  Teach-A-Bodies として、世界数十カ国で使用されていて、ポルノだのアダルトショップだのと言われたことは、ただの1件もない人形が、ポルノづけの日本の男達によって、勝手にポルノ人形にされてしまったのですから、人形にとっては「冤罪」も良いところです。
何としても、復権を望みます。         
        (文責 岩淵成子)