熟年の性を考える

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                             研究員  岩淵 成子
 

「老後は性なんて関係ない」のが常識?! 

 

  シニア向け講座は、各地で大流行です。市民館、公民館の講座では、定番メニューの一つです。子育て応援とシニア向け講座は、平日昼間に開講して、人集めできる層が対象ですから、当然と言えば当然ですが。

 シニア向け講座立ち上げへの参加要請が、断り難い人からあり、渋々出かけました。
 市民自主企画講座とかで、提案者がダウンしたためのピンチヒッターです。秋から数回の講座を開く計画なのに、予算は講師一人分も危ういささやかな額。「企画者」は講師になってもただ働きになるとの説明に、お役所のケチケチぶりが伺われました。
 
 いきさつの説明を受け、講座名を聞いてびっくり仰天。「ストップ ザ 介護」と言うのです。「介護を受けるのは犯罪?!」と思えるようなネーミング。ストップの次には「ストップ 万引き」とか「ストップ セクハラ」「ストップ 歩き煙草」のように、犯罪だの、社会の迷惑行為だのが並べられることに、耳慣れていたからです。
 ネーミングした方の意図が「介護など受けずに、生き生きとシニアライフを送りましょう。そのために、予防活動をしましょう」であることを、頭では理解できます。しかし、感覚としては、「介護は、迷惑行為です」とか「介護は犯罪です」と言われているようで、素直に「そうですね」とは言えません。

 次の会議までに代案を考えることとなったので、所長の「マリッジ アゲイン」を拝借して「アゲイン 青春」を提案し、他にこれといった案が無く、決まりました。 内容の検討でも、従来通りの案が出されました。つまり、老後に必要なのは、健康維持の体操・ウォーキング。栄養バランスのとれた食事。それに加えれば、趣味やボランティア活動で生き甲斐を持たせる。

 今までもそれはされているのだから、今更やっても人が集まるだろうかと、話を聞きながらイライラしてきた私は、「シニア講座では、殆ど取り上げられていないが、やる気・元気の源として、一番重要なのが性の講座です」と、所長の著書を取り出して、説得に及びました。声の大きさからか、対案が無いからか、あっさり賛成を得られました。侃々諤々の論議を覚悟していた私としては、拍子抜けでした。

 「性の講座」と聞いたら、尻込みする人が多いだろうから、3回講座の真ん中に挟もうということになりました。現在の熟年世代では、真面目に性の話をする体験は、ほとんどなかったでしょう。男は、酒席の猥談としてしか話してこなかったのではないでしょうか。だから今更、シラフで、女も混じった席でなど、性を話すなどとんでもない。「スキモノ」と思われてしまう。と、尻込みするでしょう。女は、貞女を装うから、ごくごく親しい仲間以外は、性の話題など持ち出さない。なかには、性に対する嫌悪感を持っている人さえいるのが現実。
 3回講座の真ん中なら、連続だから仕方なく来るだろうという計算をしたわけです。提案者以外は、みな腰が引けての講座開設です。

 ちなみに、1回目は、ものぐさでもできる「ながら体操」と、5歳児でも分かるプロの発声法と歌。3回目は、一人でも腐らせない、冷凍材料料理の知恵。
 
 2回目の講座には、所長に無理を言って、講師として来て頂くことができました。所員の頼みでは嫌とも言えず、労多くして功少なしの講師を引き受けてくださいました。
 著名な講師でなければなかなか人が集まらない、地域性があるにもかかわらず、役所の文化予算は、どうしてこうも少ないのかと腹立たしい思いです。

 読者の皆様の地域では、シニア講座に性の問題が入っていますでしょうか。「やる気・元気・生きる力の源」として、「シニアの性」を広げて頂けたらと思います。

 
 

 

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