この頃流れているCMに「プロポーズアゲイン」があります。ご覧になった方も多いでしょう。
寺尾聡扮する、ちょっとくたびれた、しかしカッコいい夫が、「いろいろゴメン」とか言いながら、宝石のプレゼントをする。妻はニコニコして、「あらためて惚れなおしたわ」という顔になる、宝石会社のCMです。
「違いが分かる男の・・・」というコーヒーのCMと同じ作り方です。以前は違う俳優が、同じシチュエーションで演じていました。
妻に宝石をプレゼントすれば、妻は惚れなおして、その後の人生がハッピーになるから、宝石をお買いなさいと言うメッセージを伝えています。
所長の次回作は「マリッジ・アゲイン」に決まりました。アゲインには、「再び」の意味があります。すなわち、「再婚」の意味と「結び直し」の意味があるわけです。
CMの夫の場合「結び直し」が目的で、妻にプレゼントすることは、画面からよく伝わってきます。決して「再婚」相手へのプレゼントではありません。
しかし、どうしてこうもワンパターンなのかと思ってしまいます。宝石会社としては、宝石を買わせることが目的ですから、当たり前だと言ってしまえばそれまでですが。
以前『熟年離婚』のドラマにあった、定年退職の日に、宝石を買って帰った夫そのままで、視聴者からの指摘があったはずなのに、全然シチュエーションに進歩がありません。 bQ5で、「女はそんなに単純だと思われているのでしょうか」と書きました。
今まで、幾つもいくつも積み重なってきた「些細な不満」の数々が、宝石ひとつもらっただけで解消し、あらためて惚れなおして再出発できるのでしょうか。
女を甘く見すぎていると思えてなりません。
確かに、気持ちは目に見えませんから、形のあるものにして気持ちを表すことは、悪いことではありません。しかし、形ある物をあげれば、気持ちがあると感じるかどうかです。
定年の日まで、妻の存在を空気のように思い、自分のやることはすべて、妻は承認してくれると思いこみ、やりたいようにやってきた。
妻は、経済的自立が難しかったり、ひとりで生きることが不安だったりして、夫に合わせることで、自分の身の処し方を決めてきた。本来の自分をひたすら胸の内に閉じこめて。
「それほど横暴な亭主じゃないよ」と、団塊世代以下の男達は言うかもしれません。ちゃぶ台ひっくり返して、酒を食らって大の字に寝てしまうような男は、すでに化石になっているでしょう。あこがれてはいても、実行できる男は皆無に近いと思います。
しかし、妻が看護士で家政婦であればそれで良しとしている男は、まだまだ多いのではないかと思います。気持ちはそのままで、宝石だけ贈っても、妻は惚れなおしませんよ。
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