熟年の性を考える

bQ6
 
研究員  岩淵 成子
 

熟年離婚は簡単ですが、再婚はなかなか・・・

 

  高柳所長から「熟年お見合いパーティーに行かない?」と誘われました。
 所長の次回作『離婚・再婚・一人暮らし』(仮題)の取材をするためです。
 熟年の性」を担当している私としては、一度体験しておきたいことで、即快諾しました。取材がメインですが、「瓢箪から駒」も、いくらか期待しました。

 闇雲に当たっても効率が悪いので、ネットで検索し、年齢、会費などの条件をクリアしたサイトを見つけ、申し込みました。所長は年齢が合わず、ご一緒はできませんでした。

 

 当日は、タンスの肥やしになっていた、ジャケットを引っ張り出し、白髪頭は帽子で隠し、何年ぶりの化粧までして、期待に顔が上気するように感じながら、出かけました。
 駅前で会った体操仲間が、「えっ、誰?!」と、上から下までしげしげ見つめ、「どこのマダムかと思った」と言うほどの変身ぶり。「これなら『二人で夕食』は、可能かも」と、意気揚々でした。

 銀座会場」とあっても、道路の向こうは「有楽町」の、名ばかりの銀座。ペンシルビルの上階が、指定された会場。なんだか悪い予感がしました。
 小さなエレベーターを降りると、味気ない事務所風の入り口。ところが、中に入ると、安キャバレーを改装したような、イルミネーションと、鏡張りの壁のある薄暗い空間。
 これからの会を暗示するような殺風景さに、勢い込んでいた気持ちは、萎んでしまいました。「どうでも良い」という気になり、室内に立ちこめている煙草の臭いを防ぐため、大きなマスクをかけたため、帽子と相まって、防犯ビデオを恐れる、指名犯のよう姿になりました。

 受付にいたスタッフが、司会も兼ねていて、時間になると、手慣れた調子で説明を始めました。聞いている参加者を見て驚きました。大げさに歓迎の辞を述べる、司会者の言葉にそぐわず、わずか5名の女性と、4名の男性だけ。最後の男性は、とうとう欠席。しかも、配られたコンピューターの「相性診断」によれば、私とは、99.9%の相性率。この方が来ていれば、その後の展開が変わったかもしれなかったのですが・・・

 4名だけの参加者でしたから、すべての方とお話はできました。お話しした限りでは、同年代かと思っておりましたが、経歴を見ると、全員が50代でした。年下希望の私でも、15才程も違う方には、相手に失礼かなと思ったくらいでした。
 茨城、千葉、埼玉など、遠くから来ている方ばかりで。貴重なお休みの午後を使って、お金も出して、麦茶しかでない場へ、よく足を運ぶと感心してしまいました。
 最後にカップル誕生の発表があり、2組の方が、夕食をともにされることになりました。

 パーティとは名ばかりの、飲まず食わずで、ひたすら相手を掴むために、詩のボクシングを戦い抜くような進行に、疲れ果てた私は、早く「試合会場」から出たいと感じました。
 
 銀座のレストランで、二人での夕食」との淡い期待は、砕かれました。
 一人で「銀座のレストラン」を見つけられない私は、会場横にあった「マック」に入り、何年ぶりかで「ナントカマック」と「カントカスープ」で空腹を満たし、ぐったりして帰宅しました。

 参加者の一人から、離婚の経緯を聞きました。子どもの親権で折り合いつかず、裁判になって負け、子どもは相手方に「取られた」と、言っていました。
 子どもが成人していないと、離婚は大変です。熟年離婚は、その心配はありません。互いがOKすれば、それで成立します。

 しかし、再婚は、なかなかハードルが高いと、実感しました。相手を見つけるのが大変です。
 体験した会社は、30代、40代を中心のパーティをしていて、最近50代、60代のパーティを始めたそうです。参加者数が少ないのは、まだ知られていないからだと、弁明していました。
 今後希望は増えるだろうから、企画は続けていきたいとも話していました。

 再婚したいが、なかなか出会いの場がないという方には、一度行ってみることはお勧めしますが、それでピッタリの方と出会えるかどうかは、保障の限りにあらずです。
 男性の場合は、収入が安定していて、DVなどもなく、親の介護もないなどと、一応の条件が整っていれば、可能性が高いかもしれません。
 しかし、女性の場合。看護士・家政婦でなく、相手と対等平等の立場で、これからの人生を築きたいという方は、なかなか条件が厳しいと思います。
 集団見合いの場に来られる男性に、それを求めるのは、聖書の「ラクダが針の穴を通るに等しい」に近いものがあるように感じました。

 

 所長に報告すると、研究所で、もっと別の方法でやろうという話になりました。

サロンに集まった男女が、教養講座や、芸術鑑賞などを通して、互いを知り合い、その中から自然発生的にカップルを誕生させる」という、企業論理では考えられない企画です。
 ぜひそれが実現することを願い、所員の一人として、当事者として、関わりたいと思いました。
 読者の皆様にも、お知恵を拝借したいと思います。ご意見を、研究所にお寄せください。

 

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