熟年の性を考える

bQ4
 
研究員  岩淵 成子
 
「川を渡る女」は今も
 

 テレビで、認知症の介護についての番組を見ました。
 一人ひとりに寄り添う介護を目指して、若い介護士さん達が、悩みながら、奮闘している番組でした。
 
 そこに登場した、高齢の女性が、強く印象に残りました。なかなか施設になじめず、夜中に起き出して、いろいろ要求する。介護する立場からは「難しい存在」の方でした。
 「部屋が寒くて寝られない」との要求に応えて、施設に入っている暖房に加え、彼女の部屋だけ、特別にストーブを入れてみたり。何とか要求に応えようと奮闘している、若いイケメン介護士さんの姿に、「ご苦労様です!」と、頭を下げたいくらいでした。

 しかし、「ストーブ入れるより、イケメンのあなたが、ハグしてあげる方が、効果的だと思うよ」と、言いたい気持ちにもなりました。
 朝鮮民話の「川を渡る女」が、彼女の姿にダブったからです。

 『寒い、寒いと言っていた老いた母。その母が、毎夜、着物の裾を濡らして帰ってくるようになり、不思議に思った息子が、後をつけると、川を渡った先の家で、老人に背中をなでてもらって、帰ってくる。母の気持ちを知った息子は、川に石を置き、濡れずに渡れるようにした』という話です。ご存じの方も多いでしょう。
 話の深い意味は分かりませんが、息子の家族と、幸せに暮らしている、老いた寡婦の母が、心の隙間を埋めることはできず、夫に代わる男から、スキンシップを受けて、初めて満ち足りる。年老いても、性的存在であることは、変わらない。と、解釈します。 

 番組の中では、ベテラン介護士さんが、ケーススタディに加わる場面も、出てきましたが、誰も、スキンシップの問題を、取り上げてはいませんでした。せいぜい、話し相手になることの大切さを、上げるだけでした。せめて、手を取るとか、肩を抱くくらいは、あって良いと思うのですが。介護に携わる方々には、高齢の方々も、性的存在であることは、認識されていないのでしょうか。人間の最も深いところの問題ですのに。

 まだまだ、互いのぬくもりを、感じることができる熟年時代に、ぬくもりを感じる機会を、たくさん持っておきたいものです。一人になってから、ああしておけば良かったと思っても、手遅れなのですから。今なら、時間が充分取れるときです。
 死別、離別で、セカンドシングルになった方も、ひとりが気楽とか、今更・・・などと言わずに、ボーイフレンド、ガールフレンドを、積極的に捜してみてはいかがでしょう。
 いろんな方と交流を持つことにより、その後の人生を、充実した、明るいものにできます。友達関係ならば、結婚前提のおつきあいのように、相手に気を遣いすぎることも、なくてすむでしょう。たとえ、深い性的関係が生じたとしても、互いが独身である限り、何の制約もありません。「いい年をして」という言葉は、死語にしてしまえばいいのです。

 「年金者組合で第2の青春を」というスローガンを、毎月の「年金者組合会報」で見ます。実践しなくては意味が無い、といつも思います。
 読者の皆様は、いかがお考えでしょう。

 
 

 

 

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