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bP1 |
| 研究員
岩淵 成子 |
寅さんには美人のスチュワーデスさんがいましたが・・・ |
NHK
BSで「寅さんシリーズ後半」が、始まりました。 このシーンを見ながら、区役所の食堂で会った、老婦人のことを思い出しました。 旅行に行ったという話になり、ふたりのうちの一人は、外国旅行も色々行ったそうですが、もう一人は、国内旅行だけしか行ったことがない、と言われるのです。理由を聞いてみると、飛行機に乗れなかったからなのだそうです。高所恐怖症ではなく、あんな重いものが空を飛ぶなんて・・・という類の、漠然とした恐怖心のようです。そのため、夫はどんどん海外旅行に行ったけれど、自分は一度も行かずじまいだった。と寂しそうに言われるので、寅さんの話をし、励ましの意味も込めて「だからまだ遅くありませんよ。お連れ合いに、しっかり抱いてもらえば、乗れますよ」と言ってしまったのです。すると、「それはもうできません」との答え。連れ合いは、既に無くなってしまわれていたのでした。 大正生まれの男にとっての妻は、「怖いことはない。俺がしっかり抱きしめていてやるから。絶対大丈夫だから一緒に行こう。おまえが一緒に行けないんじゃ、旅行する気にならないよ」と、言うような存在ではなかったのでしょうか。妻は行けないんだから、自分は一人で行く。それが当たり前。と思っていたのでしょう。 妻の悲しみになど、思い及ぶこともない夫。それで当たり前と、死ぬまで夫に尽くしたであろう妻。どうということはない、ありきたりの日本の風景。しかし、それで、本当には満足していない、、としか見えない妻の顔が、私の前にはありました。眉間の深いしわと、うつむき加減の悲しげな目つき。子どもや孫達に囲まれて、穏やかな日々を過ごしていて、幸せだという言葉とは、違うメッセージを発していました。海外旅行に象徴される、夫婦の関係が見えたような気がしました。 抱きしめられ、手をつなぎ、スキンシップを充分取ってきた妻は、コロコロと、はじけるような顔をしています。しかし、それが充分でない妻は、眉根にしわが寄ったような、険しく、トゲトゲしているような感じがあります。若いうちは、化粧や「若さ」でごまかしがきいていますから、あまり分かりませんが、年取れば取るほど、はっきりしてくるように、思えます。 自分たちは、どちらだろうかと、振り返ってみてください。眉根にしわの関係だったら、修復が必要です。この先20年、30年、まだまだ長い年月を、ともにするのですから。
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