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| “人間と性”教育研究所所長 高柳 美知子 |
(2004/ 6 /12更新) |
| 5 「性」抜きに「生」は語れない ― セックス抜きに老後を語れない― |
| 「性」抜きに「生」は語れない
この4月末、『セックス抜きに老後を語れない』(河出書房新社)を出版しま した。 性衝動は年とともに自然に衰え、枯れていくものといった「迷信」は今なお根 強く、「いい年をして」「年甲斐もなく」の心ない言葉に苦しむ高齢者は多いの です。幸福な高齢社会を実現するには、性の問題ときちんと向き合う必要があ るーそんな思いからの緊急出版でした。 しかし性の問題は、高齢者に限ったことではありません。“人間と性”教育研 究所のHP「すてきな性 ゆたかな生」の子ども相談コーナーには、小学生、中 学生から体・性の悩みが寄せられています。また、長年、執筆を続けている小学 館発行の学年別月刊誌『小学五年生』にも、全国の小学五年生から相談の手紙や 葉書がたくさん届きます。 ある小学校で5、6年生対象に「エッチ(性)ってどんなこと?」のアンケー トをとったところ、〈アダルトビデオ〉〈モーテル〉〈テレクラ〉〈ストリッ プ〉〈ブルセラ〉などの他に、〈月経〉〈おしり〉〈おっぱい〉〈バギナ〉〈チ ンポ〉〈ナプキン〉〈ブラジャー〉〈コンドーム〉など、体の名称や生理用品が あがったそうです。 しかし、これも無理からぬこと。子ども達の回りには、性を人間関係や生活か ら切り離し、性器や性行為だけをクローズアップしたポルノ情報があふれかえっ ています。 性の悩みは、子どもだけではありません。私の担当しているA社の「性と生の 相談」、C社「女性相談室」に寄せられる相談は、最近、熟年夫婦の性のトラブ ルが目立って多くなりました。 人間にとって〈性〉とはなにか? ひとつは生殖です。古代から連綿と続く生命の大河は、その時代その時代を生 きた男女の性の営みによってもたらされたもの。 しかし人間は、避妊という文化を獲得しました。望まない妊娠をした場合も、 やむを得ない措置として中絶を選ぶこともできます。 子どもはもはや“さずか りもの”でなく、“つくるもの”なのです。 生殖の性を《自然の性》とするなら、「私とあなた」の関係をより親密に、よ り確かなものにするための性は、《文化の性》といえましょう。 性は自分自身。自分の存在証明。自分が生きていることの土台。即ち、性を考 えるということは、自分自身の人生を見つめることになるのです。まさに、「性 抜きには生は語れない」のです。
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